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ともにゃんの生態

臨床工学技士の「ともにゃん」の個人ブログ。医療機器の管理を中心に日常の戯言を日記にしています。

透析液水質確保加算

透析液水質確保加算について、我が兵臨工の代謝部門長、楢村さんが会報に掲載してくれたのでご紹介します。

人工腎臓における合併症防止の観点から、使用する透析液についてより厳しい水質基準を達成した場合の評価として、今年4月より透析液水質確保加算10点が適用されることとなりました。そこで、透析液水質確保加算の算定要件についてその概略を説明致します。

【背景】

 今から約20年前、水道水中に含まれるアルミニウム(Al)によりAl脳症や骨軟化症などの合併症が問題となり、透析用水から不純物を除去する必要性が訴えられた結果、RO装置を導入した施設に対して水処理加算(30点)が新設されました。後にこの加算は技術料に含まれることとなりましたが、水処理加算新設によりRO装置の普及が進んだことは疑いの余地もない事実です。近年、透析液清浄化の必要性が広く認識され、国内外においても透析液清浄化に関する新たな基準が制定されるなど、各施設で清浄化された透析液を供給することが必須の課題となっています。日本透析医会、日本臨床工学技士会等は、透析液清浄化の普及に何らかのインセンティブも必要と考え、診療報酬に反映してもらえるよう関係省庁に要望してきました。そのような背景の中、本年115日に中央社会保険医療協議会(中医協)より発せられた「医療安全対策の推進について」の骨子の中に、「専任の医師又は専任の臨床工学技士を配置し、使用する透析液についての安全性を確保して人工透析を実施する場合の評価について検討する。」という内容が盛り込まれました。その約2ヶ月後、35日付で厚生労働省から「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行った場合には、透析液水質確保加算として、所定点数に10点を加算する。」との内容が発せられました。

 

【透析液水質確保加算の算定要件】

 透析液水質確保加算の届出を行うためには、まず下記の2点を満たす必要があります。

    関連学会から示されている基準に基づき、水質管理が適切に実施されていること。

    透析機器安全管理委員会を設置し、その責任者として専任の医師又は専任の臨床工学技士が1名以上配置されていること。

 

この中の関連学会とは何を指すのかなどについて、一時期質問が相次ぎましたが、329日付で厚生労働省保険局医療課より疑義解釈資料として下記の内容が発せられています。 

(問144)透析液水質確保加算について、関連学会の定める「透析液水質基準」とは何か?

(答)日本透析医学会学術委員会による「透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準」を指す。

 

(問145)透析液水質確保加算について、透析機器安全管理委員会を設置することとなっているが、構成委員や開催頻度の要件はあるか?

(答)関連学会の定める基準を参考にすること。

 

【透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準2008の主な内容】

 日本透析医学会学術委員会が出した「透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準2008」では、生物学的汚染基準を下記のように定めています。

・ 透析用水   細菌数 100 CFU/mL未満、ET 0.050 EU/mL未満
・ 標準透析液  細菌数 100 CFU/mL未満、ET 0.050EU/mL未満
・ 超純化透析液 細菌数 0.1 CFU/mL未満、ET 0.001EU/mL未満(測定感度未満)

 

これらの数値基準に加え、当基準には安全管理体制の位置づけや安全対策についても詳細に記されています。誌面の都合上、全てを掲載することが出来ないため、「秋葉 隆、他: 透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準 2008. 透析会誌 41(3), 159-167, 2008」を参照して下さい。

 

「透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準2008」には記されていない内容についての質問も多く寄せられ、430日付で厚生労働省保険局医療課より疑義解釈資料として下記の内容が発せられています。

(問17要約)日本透析医学会の基準のみではサンプリング方法等が規定されていないが、何か参考となるものはないか?

(答)日本臨床工学技士会の定める「透析液清浄化ガイドライン」Ver.1.06を参考にすること。

 

(問18)日本臨床工学技士会の定める「透析液清浄化ガイドライン」Ver.1.06には、原水や透析用水の検査等、透析医学会の「透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準」にない基準が示されているが、その他の基準も遵守することが加算の要件か?

(答)今回の改訂においては、日本透析医学会の「「透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準」が基本であり、各種基準値についても当該基準に則った適切な水質管理を行うこと。日本臨床工学技士会の「透析液清浄化ガイドライン」はさらなる水質管理の実地にあたり、参考としていただきたい。

 

【水質確保加算申請に必要な書類】

 水質確保加算を申請するためには、「特掲診療料の施設基準に係る届出書」「透析液水質確保加算の施設基準に係る届出書添付書類」に、透析機器安全管理委員会において作成した透析機器および水処理装置の管理計画(保守・点検計画)の写しを添付して、近畿厚生局長宛に提出します。管理計画の概要は、日本臨床工学技士会が発行している「医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点」などが参考になります。

書類一式は近畿厚生局ホームページからダウンロードすることが可能です。届出にあたっては、保医発03053号に「特に定めがある場合を除き、実績期間を要しない」と記されていることから、これから清浄化に取り組もうと思われている施設でも、適切な水質管理計画を立てることで申請が可能です。

 

【届出書中の透析液安全管理者・品質管理者について】

 申請には、透析液安全管理者・品質管理者等を記載して提出しなければなりません。透析液安全管理者は、専任の医師又は専任の臨床工学技士がその職務を担うことと規定されており、「透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準2008」では「透析用原水から廃液までの質と安全管理に熟知し、且つ所定の研修を履修した者」と規定されています。

この「所定の研修」は、現在のところ日本臨床工学技士会が主催している透析液安全管理責任者セミナーが相当するものと思われます。7月に大阪で開催されるセミナーでは、初日の申し込み者数が定員を遥かに上回る結果となったため、急遽翌週の東京会場でのセミナー定員を増員し、さらに今後、より多くの方が受講できるよう他の都市での開催も検討しています。「所定の研修」については、医師が透析液安全管理者になった場合も想定し、現在、日本透析医学会等と対応を協議しているところです。

【おわりに】

 「透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準2008」の基準をクリアするためには、それを達成するために必要なシステムの構築、そのシステムの稼働状況を確認するための検査・確認事項の設定が必要です。また、透析液の作成にあたる全ての技士がその内容と根拠を理解することが重要です。すべての施設で透析液水質確保加算の申請要件を満たすことが望まれています。

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ちなみに、透析件数が150件程度で個人用透析装置が1台の当
院では、しばらくは加算を取ることはないでしょう!残念!

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  1. 2010/08/02(月) |
  2. 機器管理
  3. | コメント:2

コメント

しつもん

ここ3年ほど透析液水質基準と血液浄化器性能評価基準2008のまちがい探しをしています。
 この項のさいごに「個人用透析機が1台」と書かれていますが、「透析液水質確保加算」とどういう関係にあるのでしょうか?お教え下さい。
  1. 2012/04/07(土) |
  2. URL |
  3. おおその #-
  4. [ 編集]

当院は、透析室がなく、ICUに個人用透析機が1台」しかありませんので、「透析液水質確保加算」をとるための労力が保険点数に見合わないという意味です。
  1. 2012/04/07(土) |
  2. URL |
  3. ともにゃん #-
  4. [ 編集]

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