東日本大震災で多くの患者を受け入れた、宮城県石巻市の病院で、災害のときに病院の混乱を防ぐため、救急患者を、家族の安否を尋ねる人などと分けてから、治療に当たる、初めての訓練が行われました。
訓練を行ったのは、震災で最も多くの人が犠牲になった石巻市で中核的な医療機関として活動した、石巻赤十字病院です。
3日は医師や看護師などおよそ500人が参加し、マグニチュード9の地震と大津波を想定して、患者の受け入れ訓練が行われました。

この病院は、震災発生後の3日間で2100人余りの救急患者を受け入れましたが、行方不明の家族の安否を尋ねる人など、患者以外の人も6000人ほど訪れたことが、病院が混乱した原因の一つになったということです。
このため、患者の容体に応じて医師が治療の優先順位を判断する「トリアージ」を行う前に、患者とそうでない人を分ける「プレトリアージ」を行う訓練が、初めて実施されました。
玄関前に配置された11人の担当者は、病院を訪れた人に「どうしましたか」と声をかけ、病院に来た目的を確認し、具合が悪いという人はすぐにトリアージに回しました。
一方、患者ではないと判断された人は、安否情報の照会や、薬や医療用機器の提供など、病院の外に設けられた目的別のコーナーに案内され、それぞれで対応の手順を確認していました。
震災が発生した当時、病院で対応を指揮した、石井正医師は、「震災のとき病院の機能を維持するためのアイデアが、プレトリアージです。患者でない人も病院に入ろうと必死なので、仕分け作業は大変ですが、訓練を通じて、この作業を標準化させたい」と話しています。